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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 頁
槇の立木をそのままくねらせた風変りな門をくぐると、生垣がつづいている。次郎は、その生垣のすき間から茶の間の方をのぞいて見た。すると、道江と姉の敏子とが、こちら向きに顔をならべているのが見えた。二人とも、縁板に足をなげ出し、障子をすっかり取りはらった敷居の上に尻をおちつけている。おりおりうなずきあったり、眉根をよせたりして、しきりに何か話しあっているが、声はききとれない。次郎にとって案外だったのは、道江の顔にちっとも興奮した様子が見えず、眉根をよせても、すぐそのあとから笑いに似た表情がもれていることだった。
次郎は思いきって枝折戸のところまで行き、その上から眼だけをのぞかせて、声をかけた。
「叔母さん、はいってもいいんですか?」
敏子は、叔母さんと呼ばれるにはまだあまりにもわかかったが、次郎は徹太郎を叔父さんと呼ぶ関係上、そう呼びならわしているのである。
「あら、次郎さん。……かまわないわ、そこからはいっていらっしゃい。」
枝折戸は手で押すとわけなく開いた。次郎は、行儀よく二列にならんでいる朝顔鉢の間を通って、縁側に腰をかけると、ぬすむように道江の顔をのぞいた。