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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 頁
一一 最後の訪問
次郎は大山のうしろ姿を見おくりながら、すまないというよりか、むしろ、うらやましいという気でいっぱいだった。そんて、なぜ今まで大山を白鳥会にさそいこまなかったろう、もし彼のような生徒がその一員に加わっていたとすれば、自分は、新賀や、梅本や、そのほかの生徒たちからは到底学ぶことの出来ないものを、これまでに学んでいたであろうのに、と思った。
一一 最後の訪問
朝倉先生の家では、奥さんが留守らしく、案内を乞うと奥の方から先生の声がきこえたので、次郎はさっさと上って行った。予想していたとおり荷造りはもうすっかりすんでいた。そしてその大部分はすでに発送されたあとらしく、いく梱かの荷が小ぢんまりと一ところに積んであり、がらんとなった部屋々々は掃除までがきれいに行きとどいていた。庭先にも藁切れ一つちらかっていない。ただ古ぼけた畳に、物を置いてあったあとだけがいやにきわ立って新しく見えた。
朝倉先生は、いつもの部屋で次郎を迎えたが、そこには、これまで二階の白鳥会の読書室にあった大きなテーブルがすえてあり、そのまわりに座ぶとんが二三枚しいてあるきりだった。次郎がはいって来るまで、先生はひとりで読書していたらしく、王陽明の伝習録がテーブルの上にふせてあった。