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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 頁
」
「うむ。」
と、新賀は案外おとなしくうなずいて、自分のもとの席にもどったが、いかにもぐったりしたように、そのまま眼をつぶり、両手で額をささえた。それはいつもにない彼の姿勢だった。
次郎は、そのあと、また馬田の方に向きなおって何か言い出しそうなふうだったが、しばらく考えたあと、思いかえしたように廊下に背を向け、馬田に対したのとはまるでちがった、しみじみとした調子で言った。
「僕は諸君にあやまらなければならないことがある。僕は、やっと、今それに気がついたんだ。」
いくらかざわつきかけていた空気が、それで、またしずかになった。
「僕たちは、いま、ストライキをやるかやらんかという問題で争っている。しかし、考えてみると、これほど無意味な争いはない。この無意味な争いの原因は――」
言いかけると、廊下の方から誰かがまた叫んだ。
「無意味とは何だ。」
次郎はすこし顔をねじ向けて、
「朝倉先生の留任とストライキとは全く無関係だという意味だ。」
「もっとはっきり言え。ストライキをやっても駄目だというのか。」
「むろんそうだ。」
「やってみないで、どうしてそれがわかるんだ。」
「朝倉先生の人格がわかれば、それもわかる。