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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 頁
」
二人はそれに対しては何とも答えなかった。梅本は、すぐ、くってかかるように言った。
「君ひとりが犠牲になったからって、何も片づきはせんよ。僕は、もし学校に残ることが出来れば、さっそく馬田の征伐をはじめたいと思っているんだ。」
すると新賀が、
「そうだ。そしてそのつぎは西山と曾根だ。僕はそのためになら、僕の海軍志望を棒にふってもいい。」
次郎は一瞬、躍りあがりたいほどの興奮を覚えた。しかし、つぎの瞬間には、彼はその興奮をおさえようとして、心の底でもがいていた。彼はしばらくして言った。
「そんなこと、ばかばかしいよ。こんなちっぽけな中学校のことなんか、もう、どうだっていいんだ。僕たちには、もっと大きな仕事が待っているんだから。」
彼は、しかし、言ってしまって何かうつろな気がした。それがまだ彼の心の奥底からの声になっていなかったことは、彼自身が一番よく知っていたのである。
その日は、それ以上に学校に大したことも起らなかった。生徒たちは、職員会議に心をひかれながらも、授業が終るとさっさと退散した。それは、彼らの大多数に、自分たちは安全地帯にいるという自信があったせいでもあったが、また一つには、学期試験が近づいているのに、朝倉先生の問題で、誰もがその準備をおろそかにしていたせいでもあった。