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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 頁
生命の流れは「運命」の高低によって、あるいは泡立ちもしようし、あるいは迂回もしよう。また、時としては、真暗な洞穴をくぐる水ともなろう。かりに、最初東に向かって流れ出したのが西に向きをかえたとしても、途中で滞りも涸れもせず、そして、運命の岩盤の底からでさえも新しい水を誘い出して流れに力を加え、たゆむことなく「永遠」の海に向かって流れることをやめないならば、それは一個の生命として健全さを失ったものとは言えないであろう。大事なのは、次郎が果してそうした健全な生命の持主であったかどうかということであるが、その点では、われわれは彼をある程度信用してもよかったようである。
次郎は、よかれあしかれ、たえず何かの喜びを求める少年であった。そして求めるためには、決して立ちどまることを肯んじない生命の持主であった。彼は、彼の幼年時代を、すべての健康な子供がそうであるように、ひとびとに愛せられる喜びを求めて戦って来た。そして求めた愛が拒まれると、彼の戦いは相手に対する反抗や、虚偽の言動となり、また第三者に対する嫉妬ともなって現れたのであるが、それはむしろ、求むる心の熾烈さを示すものに外ならなかったのである。