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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 頁

青空文庫

」

「ところが、次郎君自身は、僕らにそんなことを言われたのが非常に不服らしいんです。」

「すると、宝鏡先生にあやまろうというのか。」

「ええ、僕らが反対すれば、絶交でもしかねない見幕でした。」

「絶交が大ばやりなんだな。……で本田は、兄さんとしてどういう考えだ。」

「僕は――」

と、恭一は、少し顔を赧らめて、

「次郎が進んであやまると言うなら、あやまらした方がいいと思っていました。しかし、大沢君の考えをきいているうちに、それも不安なような気がして来たんです。」

「うむ。――」

と、朝倉先生は、しばらく考えていたが、

「次郎君のことは、学校の問題としては、校長にもお話して、もう済んだ事になっているから別に心配せんでもいい。しかし、よく考えてみると、こういうことは学校だけに起る問題ではないんだ。形はちがっても、世間にはそうしたことがざらにある。君らも、将来、次郎君のような羽目に陥ることがないとは限らん。これを機会にみんなで真面目に考えてみることだね。」

その時、奥さんが、

「どうも、おそくなりまして。」

と、煎餅を袋ごと盆にのせて、茶道具といっしょに運んで来た。そして、次郎のすぐそばに尻を落ちつけ、みんなに茶を注ぎはじめた。