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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 頁

青空文庫

」

「早いでしょう。」

「今日運んだんかい。」

「いいえ、もう昨日から。」

「昨日からなら、早いの当りまえだい。」

「そうね。」

「今度の学校、いいなあ。」

「ええ。いいわね。」

「乳母やの部屋はどこだい。僕探したんだけれど、わかんなかったよ。」

「そう? 探して下すって? でも、乳母やのいる部屋は、もうありませんのよ。」

「ない? 嘘言ってらあ。」

「本当よ。……あのねえ、次郎ちゃん、あたしたちは、もう学校の校番ではありませんの。」

「嘘だい。」

「嘘じゃありませんの。」

「だって、校番がいなくてもいいのかい。」

「これからは、小使さんだけになるんですって。」

「小使さんだけ? じゃ乳母やがそれをやるんかい。」

「いいえ、小使さんは女ではいけないんですって。」

「可笑しいなあ。じゃ爺さんがなったらいい。」

「爺さんも老人だから、やっぱりいけないんですって。」

「馬鹿にしてらあ。じゃ誰がなるの。」

「今日あちらに誰かいたでしょう。次郎ちゃん、逢わなくって?」

次郎は、さっき新校舎の廊下を、忙しそうに走りまわっていた背の低い、小倉服を着た四十恰好の男を思いだして、あれが小使だなと思った。同時に、今まで楽しみにしていた新校舎が、急に呪わしいもののように思われ出した。