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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 頁
」
お浜――「まあ、お猿さんですって?」
お民――「そう言っちゃ、いけなかったのかい。」
お浜――「だって、自分の御子様じゃございませんか。」
お民――「でも、お猿さんって言うのは、お前がつけてくれた名だっていうじゃないの。ちゃんと婆さんに聞いて知っているのよ。」
お浜――「あの時は、あの時ですわ。いつまでもそんな……」
お民――「少しは人間らしい顔に見えて来たと、お言いなのかい。」
お浜――「奥さんたち、わたし、くやしいっ。」
お民――「おや、泣いているの、ついからかってみたくなったのだよ。すまなかったわね。」
お浜――「からかうのも、事によりますわ。奥さんがそんな気持でしたら、私にも考えがあります。」
お浜は、ぷんぷん怒って、次郎を抱いて帰ってしまった。そして、それっきり、お民から何度使いをやっても顔を見せなかったばかりか、月々の飯米さえ受取りに来ようとしなかった。で、とうとうお民の方が根負けして、自分でお浜の家に出かけることになった。
今度は、無論お猿の話なんか、どちらからも出なかった。それどころか、お民はこんなことを言って、お浜の機嫌をとったのである。
「この子は八月十五夜の丁度月の出に生まれたんだよ。