輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
線上閱讀折口 信夫《死者の書(ししゃのしょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 62,340 字 · 126 頁
横佩墻内に住む限りの者は、男も、女も、上の空になって、洛中洛外を馳せ求めた。そうした奔り人の多く見出される場処と言う場処は、残りなく捜された。春日山の奥へ入ったものは、伊賀境までも踏み込んだ。高円山の墓原も、佐紀の沼地・雑木原も、又は、南は山村、北は奈良山、泉川の見える処まで馳せ廻って、戻る者も戻る者も、皆空足を踏んで来た。
姫は、何処をどう歩いたか、覚えがない。唯家を出て、西へ西へと辿って来た。降り募るあらしが、姫の衣を濡した。姫は、誰にも教わらないで、裾を脛まであげた。風は、姫の髪を吹き乱した。姫は、いつとなく、髻をとり束ねて、襟から着物の中に、含み入れた。夜中になって、風雨が止み、星空が出た。
姫の行くてには常に、二つの峰の並んだ山の立ち姿がはっきりと聳えて居た。毛孔の竪つような畏しい声を、度々聞いた。ある時は、鳥の音であった。其後、頻りなく断続したのは、山の獣の叫び声であった。大和の内も、都に遠い広瀬・葛城あたりには、人居などは、ほんの忘れ残りのように、山陰などにあるだけで、あとは曠野。それに――本村を遠く離れた、時はずれの、人棲まぬ田居ばかりである。