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ほうねんぎょうでん

法然行伝

中里 介山

線上閱讀中里 介山《法然行伝(ほうねんぎょうでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 66,110 字 · 131 頁

青空文庫

六

それ程の法然も後には念仏の暇を惜んで称名の外には何事もしなかったということである。

六

法然はこれ程の学者であり天才であったけれども、学問と才気が到底自分の心身を救うことは出来なかった。名聞利養が如何ばかり向上するとても解脱、出離の道を示してはくれない。学問が深くなり、名誉が高くなるにつれて、彼の心の煩悶は増して来た。

一切経を開いてその道を求めんと繰返し読むこと五返、釈迦の一代教迹の中に己れの心の落ちつき場と、踏み行くべき足跡を見つけようとしたが、つらつら思い見れば見る程、彼も難くこれも難い。

そのうちに恵心僧都の「往生要集」は専ら善導大師の釈義を以て指南としている。そこで善導の釈義を辿って遂に、

一心専念弥陀名号 行住坐臥不問時節 久近念念不捨者 是名正定之業順彼仏願故

という文につき当って末世の凡夫は弥陀の名号を称することによって、阿弥陀仏の願いに乗じて確かに往生を得るのだという確信に至り着いた。そこで立処に余行を捨てて一向念仏に帰したのである。これぞ承安五年の春、法然四十三歳の時。

或時法然が、「往生の業には称名に過ぎた行いはありませぬ」といわれたのを師の慈眼房が、