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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《泣虫小僧(なきむしこぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,906 字 · 70 頁

青空文庫

――オンナノセイトスキ――

と書いた。皆どっと笑った。

「あら、先生よッ!」

「先生がいらっしたよ、饗庭さん早くウ!」

扉がすうっと開いた。

田口七郎兵衛は矢庭に黒板消しをつかんだが間にあわなかった。饗庭芳子はそっと机に帰った。

啓吉は立ちあがると、

「起立!」

と号令をかけた。

白雲頭の田口七郎兵衛は黒板消しを持ったまま不動のしせいをとった。

無雑作に衿元で髪をつかねた色の白い先生は、黒板の字を見ると、急に顔を赧めて、

「貴方がこんないたずらを書いたの?」

と田口七郎兵衛に訊いた。

田口七郎兵衛は悄気てしまって黙っていた。先生は、また――男のセイトキライ――と書かれている方を見て微笑しながら、

「さア、その黒板消しを先生にお返して、席におつきなさい」

と、静かに教壇に上って行った。啓吉には、新しい先生がひどく神々しく見える。田口七郎兵衛は頭をすぼめて降りて行ったが、七郎兵衛が席につくと、啓吉は大きい声で、

「着席!」と号令した。

「貴方が級長さんですか?」

啓吉は赧くなってうなずいた。先生は、黒板の方へ向くと、まず饗庭芳子の書いた――男のセイトキライ――から静かに消して行った。