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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
それがために、ぼくの考はどれもこれもこれまでの通説とは違ったところの多いものとなった。従って、シナのことをいえば漢学者のきげんにさわり、仏教のことをいえば仏教家から、日本のことをいえば国学者や神道先生から、叱られる、あるいは変なことをいうとだけ思われる、というようなありさまであったらしい。しかしぼくはそういうことにはさして気もつかなかったし、いくらか気がついても気にはかけなかった。もともと通説に対して意識的に異議をたてようとしたのではなく、儒教や仏教や神道そのものに反抗しようとしたのでもない。ただそういうものを研究の対象とし、自由な態度、自由な考えかたで、それを取扱った結果が、おのずからこれまでの通説とは違った帰結に到着したまでのことである。
以上はぼくのしごとについての、いわば外部的な閲歴である。どうしてここにいったような態度をとることになったか、また著作の上に現われている思想とか気分とか物ごとの見かた取扱いかたとが、どうしてそういうようになって来たか、ということになると、考えてみればいくらかはその来歴のたどられることもなくはないような気もするが、それを一々いうことはむつかしく、もっと切実には、じぶんながらはっきりしないといったほうが当っていよう。