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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
大正の末か昭和時代に入ってからかのことと思う。シナ哲学という名は好ましくはなかったが、名などはどうでもよいと思って、それを引うけることにしたので、それから後はぼくの専攻はシナ哲学だということにせられた。事実、大正の末期から後に世に出した論稿や著書は、シナ思想に関するものがその大部分であった。日本のことを忘れたのではなく、『古事記』や『書紀』やその他の古典についての、また上代史上のいろいろの問題に対する、考を時おり世に問いもしたが、最も多く力を費したのは、シナ思想に関することであった。一つのことを考えると、それが縁となって次から次へ新しい問題が起って来るので、次ぎ次ぎにそれを考えることになって来たのである。日本のことについてもこの点は同じであった。従ってぼくのしごとは学界の趨向にも世間の風潮にもかかわりはなく、ぼくひとりの心の動いてゆくままにしたことである。ただその考えかたは、思想を単に思想として取扱うのではなく、それを実生活との関聯において、また歴史的変化ということに力点を置いて、考えると共に、研究の一つの方法として原典の批判をすることに気をつけた。