輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

線上閱讀海野 十三《深夜の市長(しんやのしちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 頁

青空文庫

こうなると僕は催眠術にかけられたように後の扉を締め、奥まった肘掛椅子の上にフンワリ身体を投げだした。なんといういい気持であろう。

云うも愧かしいが、僕はまた可なりの時間を睡ったものらしい。どうも市庁まで忍びこんで、居睡りをするとは怪しからん話だが、僕の身体は本当に疲れていたのだ。気がついてみると、室内で話声が聞える。誰? 僕はハッとして、椅子の中に身体を小さく曲げた。幸いに椅子が後向きなのは、何よりだった。

「どうも弱ったよ、中谷君。今日の市会には、例の土地買収問題が出るだろうか」

と、疳高い声が心配そうに訊いた。

「そりゃ市長さん、今日は上程しますよ。向うの作戦は今日に極っていますよ」

と相手の太い声が応えた。

市長さん! ああ、すると今僕の背後には、T市の本物の市長男爵高屋清人氏が立っているのだ。いよいよ僕は出るに出られなくなった。

「そいつは困った、そうなると、一件書類を金庫から出さにゃならぬねえ」

「そりゃ必要ですね。市長さん、どうかなすったのですか」

「……ウム。実は金庫が開かないのだ」

「えッ、金庫が……」と中谷氏――そういえば思いだしたが、この人は助役の中谷銃二氏に違いない――が愕いて「そりゃまた一体全体どうしたんです。