輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《湖畔亭事件(こはんていじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,335 字 · 137 頁
それが、石炭の強い火気に照し出されて、赤黒く光っているのが、これもまた異様な感じのものでありました。
「いい湯だね」
「エヘヘヘヘヘヘ」
三造は暗い所で、愚ものらしく笑いました。
私は変な気持になって、穴のふたをとじ、そこそこに浴槽を出ると、洗い場に立って体を拭き初めました。ふと気づくと、目の前の窓の擦りガラスが少しばかり開いて、先夜曲者の逃げ込んだという深い森の一端が見え、その真暗な所に、ただ一点白く光ったものがチラチラと動いていました。
何かの見違いではないかと、暫く拭く手を休めて、じっと見ている内に、今度は少し位置を換て、又チラチラと光るのです。その様子がどうやら、何者かが森の中を、さまよっている様に思われるのでした。
そうした際のことですから、私は直に先夜の曲者を聯想しました。もしあの男の正体を明かにすることが出来たなら、すべての疑問は氷解する訳です。私は湧き上る好奇心を押えかねて、大急ぎで着物を着ると、迂回して庭から森の方へと進みました。途中河野のところへ寄って見ましたけれどどこへ行ったのか、彼の部屋はからっぽでした。
星もない暗夜です。その中を、幽に明滅する光るものをたよりに、探り足に進むのです。