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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《潜航艇「鷹の城」(せんこうてい「ハビヒツブルグ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,395 字 · 263 頁

青空文庫

しかし読者諸君は、自分が剔抉し撲滅したこの一団に、なぜいま、左枝が訪れようとするのか疑念を持たれるだろう。けれども左枝八郎とこの一味との間には、とうに、それまでに異様な繋がりが出来ていたのである。

その、そもそもの始まりというのが、今年になってから最初の雪の夜のことだった。左枝はただ引かれるもののように、洗足の五太夫の家を訪れた。

当時矢伏は、すでに刑死台にのぼっていて、遺族としては早苗という一人娘がいるだけであった。

その早苗は、どこか神経的な凝視的な影のある娘で、美しくはないが、清麗さにかけては万人に優るものがあった。

「ああ、また家宅捜索でございますの」

早苗は左枝を見ると、冷やかにそう云ったが、彼女にとって、実に出来ることなら飛び退きたいようなこの男が、どうしたことだろう唖のように口を噤んでいるのだ。顔には、悲痛の色が漲り、咽喉は撚れ合う縄のような筋が張っている。

時が流れる、彼は唇を開こうとはしない。

窓をサラサラと粉雪が掠め、早苗は、この沈黙がやがて薄気味悪くなってきた。

「なんでございますか、もしなんぞ、御用件がおありでしたら」

「実は」