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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《潜航艇「鷹の城」(せんこうてい「ハビヒツブルグ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,395 字 · 263 頁

青空文庫

そうして、再び床に入ったけれども、裏木戸の音は依然として止まず、その間を逢って、雨の滴が思い出したように落ちてくるのだ。

それには心動のような律動があって、四人の胸近くにいる思いがした。

誰しも今夜は、見知らぬ父母に憧れて、母の乳首の勃まり、厚い脂肪の底から伝わる、軟らかな脈打ちの音に、眠らぬ一夜を過すにちがいないと思った。しかし、それには鬱然としたものが感ぜられて、なんとなくモヤモヤとした、いつかは犯罪とでもなりそうな、やがては夷岐戸島の秘密を中心にこの一座に起るであろう、自壊作用の兆ででもあるかに考えられるのだった。

ところが、どうしたことか、その夜のうちに予感が適中してしまった。

翌暁風がおさまると同時に、それなり里虹の姿が、掻き消えてしまったのであるから……。

「まあ聴きねえ。座頭がわっしのことを、新劇崩れと云うだろうが、一時この座を離れて、妙な銭にもならねえ、真似をやっていたことがある」

里虹の行衛が知れなくなって何月目か後のこと、警察でも尋ねあぐんで、結局不入りのための失踪ということでケリをつけたのだが、その日、先夜の四人を前に儀右衛門が切りだした。