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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《潜航艇「鷹の城」(せんこうてい「ハビヒツブルグ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,395 字 · 263 頁

青空文庫

では、兇器をどこから捜し出すね。それに、あの室から姿を消したお化けは、いったい誰なんだ。また、あの時胸を抉られたにもかかわらず、八住は悲鳴をあげなかった――それも、すこぶる重大な疑問じゃないかと思うよ。僕は、そうしている君を見ると、じつにやりきれない気持になるのだがね。まして君は、夜な夜な海から上がって、防堤に来る男がある――と云う。もし、それが真実だったら、この朦朧とした結合には、永劫解ける望みがない」

「そうなんだ支倉君、まさに時は過ぎたり――さ。この事件の帰するところは、さしづめ、この一点以外にはないと思うよ」

と薄闇の中から、法水が声を投げると、検事は慌てて両手を握りしめた。そして、

「なに、時は過ぎたり――本気か法水君、君は捜査を中止しろと云うのか」

と叫んだが、その時意外にも、法水はこらえ兼ねたように爆笑を上げた。

「ハハハハハ冗談じゃない。僕は、久し振りで陸へ上がった、ヴァン・シュトラーテンのことを云っているのだよ。幕が上がって幽霊船長が、七年ぶりでザントヴィーケの港に上陸するとき、はじめその中低音が、この歌を唱うんだ。つまり、僕が云うのはワグネルの歌劇さ――『さまよえる和蘭人』