輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

線上閱讀永井 荷風《濹東綺譚(ぼくとうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,666 字 · 114 頁

青空文庫

裏通に移され、おのずから芝口の方へと導かれるのであった。土橋か難波橋かをわたって省線のガードをくぐると、暗い壁の面に、血盟団を釈放せよなど、不穏な語をつらねたいろいろの紙が貼ってあった。其下にはいつも乞食が寝ている。ガードの下を出ると歩道の片側に、「栄養の王座」など書いた看板を出し、四角な水槽に鰻を泳がせ釣針を売る露店が、幾軒となく桜田本郷町の四ツ角ちかくまで続いて、カフエー帰りの女給や、近所の遊人らしい男が大勢集っている。

裏通へ曲ると、停車場の改札口と向い合った一条の路地があって、其両側に鮓屋と小料理屋が並んでいる。その中には一軒わたくしの知っている店もある。暖簾に焼鳥金兵衛としるした家で、その女主人は二十余年のむかし、わたくしが宗十郎町の芸者家に起臥していた頃、向側の家にいた名妓なにがしというものである。金兵衛の開店したのはたしか其年の春頃であるが、年々に繁昌して今は屋内を改築して見違えるようになっている。

この路地には震災後も待合や芸者家が軒をつらねていたが、銀座通にカフエーの流行り始めた頃から、次第に飲食店が多くなって、夜半過に省線電車に乗る人と、カフエー帰りの男女とを目当に、大抵暁の二時ごろまで灯を消さずにいる。