輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

私は唯、命ぜられたことをやるだけであった。以前程、給料袋をうれしいとも思わなかったし、人に物を与えて優越感も抱かなかった。給料をもらうことは当然のような気がし、人に与えることは自分をよくみせたいというへんな虚栄だと思ってやめてしまった。そのうちに、私の肉体が非常に疲れやすくなって来ていることに気付いた。朝の掃除が過度の労働に感じた。バケツを持って二三歩あるくと動悸がする。お盆の上に茶碗をのっけて客前へ運ぶことすら、腕に苦痛をおぼえた。私は階段からこけたり、薬鑵をひっくりがえしたり、何度も粗相をくりかえした。頭痛が絶えずしており、微熱すら伴っていた。医師の診断をうけた私は、急性の軽い胸部疾患であることを知った。私は会社を辞することを命ぜられた。三カ月は療養せねばならなかった。別に病気をおそれる気持もなかった。唯、斯うしろと云われたままに動くことが出来るようになっており、自分の意志表示をすることは面倒であった。いや意志すらなかったに違いない。

三月の末、私は退職手当金のわずかと、その月の給料をもらい、社長以下にぺこぺこ別れの挨拶をして会社をやめた。分家氏は、又よくなったら来てほしい、と云ってくれた。