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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

第二章

それは秩序ということであった。

第二章

二列に並んで、ハイ御挨拶。マワレ右。何度も何度もくりかえされる。私は背がひくかったので、前の方に並んでいた。朝、校庭で行われる朝会の時から、ランドセルを背負って校門を出る時間まで、今までの生活と違った窮屈さである。両手をあげて前へならえをする時、私のところでいつもゆがんだ。まっすぐに並ぶことがどうしても厭なのである。たやすいことに違いないのだが、私は、先生になおされるまできちんと並ぶことをしなかった。教場では他所見をする。御遊戯は型にはまった廻転や歩みばかりで面白くない。御行儀が悪いとしかられる。そんなことが続いて私はすっかり疲れてしまったのである。私はそこで嘘をつけばいいのだということを思い出した。

「センセ、オテテガイタイノ」

私は手を揚げるべき時にそう云った。先生は私の云い分をすぐに通してくれた。とにかく、私は名門の子供であり、学校の名誉でもあったのであろう。

家へかえると勉強などしないで、絵本をみたり、相変らずお話をつくってきかせたりした。御稽古ごとはどんどん進んだ。然し、私はやはり型にはまった形をつくることをいやがりだした。