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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 頁

青空文庫

これは、わかりきっていたようなものの、一層明確な会得のしなおしです。これは面白い、と私が些か亢奮を示しているのはね、こういうことがあるのよ、『歌のわかれ』[自注13]のなかに収められている「空想家とシナリオ」の車善六という存在をどうお思いになるでしょうか、ああいうのは文学におけるリアリズムの神経衰弱的逆効果であると信じます。車善六も、それとからみあってキリキリ舞いをしている作者も一つの典型であるが、再びその作者にとってもくりかえすことの出来ない典型であり、完成です。ところが、あれのエピゴーネンが出て来ていてね。この頃は伊藤整の得能五郎、徳永直の某、そういう出現を、平野というもとからの文芸評論をかく人が、現代文学における自我の血路として一つながりに見ていて、私は大いにそれには反対なのです、血路として、客観的に文学史的に肯定されるべき方向ではないと信じます。車善六だって、あれは敗北の一つの形です。

私は作家として、ひろい視野がある故に身を狭めざるを得ない車善六的感覚と、今のところ(今日迄)「朝の風」のような面でとりくんで来ているのですが、それはあれとは全く反対で、ああいう旋風的突然の完成に自身を捲き立ててゆけないから、正攻法で、従って、サムソンののびかかった髪の毛みたいな苦しいみっともないところがあります。