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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《現代日本の思想対立(げんだいにほんのしそうたいりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 頁

青空文庫

常識の無意味さは、まるで相反発する矛盾した二つの常識を、平気で並べていることが出来るという点にある。地主と農民とは決して同じ利害になるものではない、にも拘らず「農村」を匡救すればそれがおのずから「農民」の匡救になるだろう、というのが、このルーズな非科学的な常識のやり口である。処が事匡救に関する限り、農村に於ける地主と貧農民との利害上の対立は極めて鮮かなのである。例えば農村匡救のためと称して低利資金を政府のあと推しで農村に融通するとする。仮に例外として、無担保で貸しつけると云った処で、土地も家もない、貧農が地方銀行の窓口へ行ったとして相手にされるだろうか。低利資金を一等容易に借り出せるものは、銀行当局に顔がきき、すでに取り引きもあり、又充分に担保物件を所有している地方有志だろう。それは主として大中小の地主を措いて他にあるまい。低利で金を借りた地主はその一部分を小作や貧農に融資する、或いは初めから又貸しが目的でこの低利資金を借り出す。この際もはや決して銀行から借りた時のような低利ではない。六分で借りたものを年一割か一割五分で回すとすれば、この地主達は匡救費のおかげで思わぬ高利貸し稼業が出来るというわけだ。