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せいぜんしんごのこと
生前身後の事
中里 介山
線上閱讀中里 介山《生前身後の事(せいぜんしんごのこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,804 字 · 83 頁
のことはある、最初の原稿とは雲泥の相違ある巧妙な構図が出来上って来た、そこで余輩もこれを賞めて、なおその原稿に詳細な加筆削除を試みたり、附箋をしたりしてこれならばといって帰してやった、(この我輩書き入れの原稿を木村毅君が今所持しているとのことだが、それはたしかに第二回目の時のものだろう、最初のは震災や何かがあり、沢田の身の上にも転変甚だしかったから十中の十までは消滅しているに相違ない)斯うして訂正の脚本原稿と相当に激励の手紙を添えてやると、それを受取ったのが沢田が何でも道後あたりへ乗り込んでいた時ではなかったかと思う、その原稿と手紙を受取って見て沢田と行友とは嬉し泣きに手をとり合って泣いたというようなことがたしか当時の沢田の手紙に書いてあったと思う、その辺までは至極よろしかったが、それからそろそろことがよろしくなくなって来た、もともと我輩の希望には自分の作物の発表慾とか沢田を世間に出すとか何とかいうことよりも、東京劇壇へ一つ爆弾を投じて見たいことにあったのだ、だからその興行は当然東京を初舞台とし、ここから出立しなければならないことに決心していた