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たざきそううんとそのこ

田崎草雲とその子

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《田崎草雲とその子(たざきそううんとそのこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,568 字 · 40 頁

青空文庫

『だが近来は、若い奴らの元気が熾で、上役を老朽とあなどってな。実に当惑じゃ。何とか、この帰結を一つ足下の力で、納めて貰わにゃならぬが……』

川上の当惑というのは、江戸詰の藩士が、殆ど佐幕に傾いて、国許の指令ではうごかない状態にあることだった。そして、家中の大多数は江戸にあって、国許の家中は、半数にも足らないのだ。

『よろしい、不肖、草雲がまとめてみましょう』

かれは、早速、江戸藩邸の佐幕派へ、長文の意見書を発した。川上から、檄をとばした。だが、梨のつぶて、何等の反応がないのみならず、国許の勤王派の言動を、事々に、幕府に、内通するらしい様子さえある。

とこうする間に、年が改った。慶応元年だ。京都を中心とする政変や兵変や、あらゆる険しい風雲は、足利の勤王の少壮派十一名を、極端に刺戟して、

『川上耄碌、田崎迂愚、彼奴ら口だけだ。両頭たのむに足らず』

と、さけんで、

『斬ッちまえ! 斬ッちまえ!』

と、いい出した。

『斬るなら、江戸詰の佐幕派の頭目も』

『むろんだ。その前に、よろしく吾々は、脱藩して、事を決すべきだ』

真っ昼間、十一名の若侍は、蔵から白張提灯をもち出して、手に手に高々と掲げ、