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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁
それを妨げるに忍びないので、僕は黙って立っていた。
やがて彼は力なげに立上がって、はじめて僕と顔を見合せると、なんにも言わずに僕の両腕をつかんだ。そうして、子供のように泣きだした。清は僕よりも年上の二十四だ。大の男がその泣き顔は何事だと言いたいところだが、この場合、僕もむやみに悲しくなって、二人は無言でしばらく泣いていた。いや、お話にならない始末だ。
それから僕は墓前に参拝して、まだ名残り惜しそうに立っている清をうながすようにして、寺を出た。そこで僕は初めて口を開いた。
「どうも突然でおどろいたよ。」
「君もおどろいたろう。」と、清は俄かに昂奮するように言った。「話を聞いただけでもおどろくに相違ない。いや、誰だっておどろく……。ましてそれを目撃した僕は……僕は……。」
「目撃した……、君は妹の臨終に立会ってくれたのかね。」
「君は美智子さんが、どうして死んだのか……。それをまだ知らないのか。」
「実はいま着いたばかりで、まだなんにも知らないのだ。」と、僕は言った。「いったい、妹はどうして死んだのだ。」
「君はなんにも知らない……。」と、彼はちょっと不思議そうな顔をしたが、やがて又、投げ出すように言った。