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はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《白髪鬼(はくはつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 頁

青空文庫

アア何という口の利き方だ。これがS市社交界の紳士とあがめられる人物の言い草だろうか。

「まさか。……それにあの方は女嫌いだって云うじゃありませんか。さもしい邪推はお止し遊ばせ」

瑠璃子はちょっと川村を打つ真似をして、あでやかに笑った。

と、その時、突然部屋が真暗になってしまった。

「アラ」という瑠璃子の軽い叫び声。

「停電の様だね」と川村の声。

フフン、何が停電なものか。わしの秘書役の志村が、約束通りホテルの配電室に忍入り、そのスイッチを切ったのだ。Sホテル内丈けの人工停電だ。わしがさっき定めの時間といったのは、このことであった。

わしは急いで、部屋の一方に仕掛けて置いた小型の機械の側へ走って行った。すると間もなく、隣りの客間から、たまぎる様な女の悲鳴が聞えて来た。瑠璃子の声だ。

なぜ彼女は悲鳴を上げたのか。

それは無理もないのだ。停電で真暗になった客間に、いとも不思議な妖怪が現われたのだ。

暗闇の中に、薄ぼんやりと、何かモヤモヤしたものが二つ現われたかと思うと、徐々にそれが恐ろしい物の形に変って行った。闇の空間に二つの目が、各々が畳半畳もある、ギョッとする程巨大な二つの目が、ジッとこちらを睨んでいたのだ。