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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《秘境の日輪旗(ひきょうのにちりんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 頁

青空文庫

「あら! 御飯はやはりお米ね」

祥子は、大発見でもしたように目を円くした。

大きな、底の浅い鍋の御飯を、椰子の実のお椀にとりわけ、右手を上手に使って、手づかみで食べているのだった。英夫と祥子が、ちょっと立止って見ていると、母親の乳房をすっていた赤ん坊が、不意に顔を上げて、にこにこと笑った。

それを見ると、二人も思わず、にっこりと笑ってしまった。

酋長の家は、たち並んだ部落の家の中でも、一ばん大きな家だった。

竹で編んだ、三メートルほどもある床の上に廊下をへだてた部屋が、いくつも並んでいた。椰子で葺いた屋根の上には、大きな人形のようなものや、槍がずらりと飾られ、その屋根の下から、首や腕に入墨をした男や、腕と膝から下に真鍮の輪をはめ、お腹に金の輪をいくつも巻いた女が、多勢の子供たちを連れてぞろぞろと出て来た。――誰か、先ぶれに来た者があるらしかった。

「ずいぶんたくさんいるわ、みんな酋長の家族でしょうか」

「百人ぐらいいそうだね、あの入墨は、人の首をとった時に入れるものだそうだよ」

「まあ、気味が悪い!」

酋長は、口ばやに、みんなに、英夫たちを紹介した。

その夜、英夫たちは、酋長や、部落の者の手あついもてなしを受けた。