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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
線上閱讀竹久 夢二《童話集 春(はしがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 43,531 字 · 97 頁
二人はもうちっとも幸福ではありませんでした。何かしら重い袋でも背負っているように、その袋の中に何かしらない心配がつまっているような心持でした。
学校がひける三時まで、こうして街を歩いているのが、とても苦しくて、罰をうけているようだと思われだしました。
「学校へいって見ようか」
「ああ」
二人は、来た道を逆にまた学校の方へ歩き出しました。二人が学校のあの街の方まで辿りついたのは、三時を過ぎた時間だったと見えて、もうその辺に知った生徒達の姿は一人も見あたりませんでした。
こわごわ門のとこまできてみると、大きな門はぴったり閉まって先生や小使が出入する脇の小門だけが僅に明いていました。
すると砂利を踏む足音が門の中から聞えてきました。
「来た!」
「先生だ!」
学校のわきが原っぱで、垣根の中にアカシヤの木が茂っていました。二人はその中へ飛込んで、死んだようにじっとして、眼だけ動かしていました。
「あ、あれだ」
「山本先生だ」
それは体操の先生でした。いつもなら怖い山本先生が、今日はなんだか、急になつかしくなって、涙がぼろぼろと出てきました。
こんなことでAもBも、許されない冒険が、そんなに思ったほどたのしいものでないということを学びました。