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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
そこへ、栗田銀五があらわれた。
「玉井は居らんか」
そういうと、もう、二階の階段をあがって来た。
青白い顔はいっそう青ざめ、ひきつったように、全身を貧乏ゆるぎさせている。剃刀のように鋭い白眼勝ちの瞳は、殺気をたたえていて、はげしく、吃った。白っぽい単衣絣に、白縮緬の帯をしめている。勝則の前に、中膝で坐った。後手にして、両手でつかんでいるカンカン帽が、カラカラと鳴っている。
席には、組合員や、劇団員が、七八人いた。この地方で、古くから演劇運動をやっている河原重巳や、中村勉も、いた。
「なにか、御用ですか」
と、勝則は訊いた。
「用とはなんか。この芝居、明日、旭座に、血の雨が降ってもええ覚悟なら、やってみれ」
「どういうわけです?」
「おれに、わけを訊くのか。フン、盗人、たけだけしいちゅうは、お前等のことじゃのう。吉田の大親分に当てつけた芝居を、この若松で、やりきるなら、やってみい」
「それは、なにかの誤解ですよ」
「誤解? 糞くらえ。大体、太陽のない街、なんて、どこの世界にあるか。外国にはあるかも知れん。いんや、日本のどこかにも、ひょっとしたら、あるかも知れん。