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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《蜘蛛の夢(くものゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 頁
それやこれやでさすがに包みおおせず、とうとう白状に及んだということでございます。姉のお定は三五郎という山女衒――やはり判人で、主に地方の貸座敷へ娼妓を売込む周旋をするのだとか申します。――の手へわたして、近いうちに八王子の方へやるつもりであったそうで、もう少しのところであぶないことでございました。
これで、このお話もまずお仕舞いでございます。――まだ判らないことがあると仰しゃるのでございますか。はあ、成る程。お稽古の帰り道で、お定がわたくしに「およっちゃんと仲よくして頂戴」と言ったこと。――あれは後にお定に聞きますと、別になんでもないことでした。その日、裁縫のお師匠さんのところで、わたくしが間違ってお由の鋏を使ったというので、ひと言ふた言いい合いました。もとより根も葉もないことで、そのままに済んでしまったのですが、お定は年上でもあり、ふだんからおとなしい質の娘ですから、自分の妹とわたくしとが少しばかり角目立ったのを気にかけて、帰るときにわざわざそんなことを言ったのだそうです。わたくしは年がゆかず、この通りのぼんやり者ですから、鋏の一件なんぞはとうに忘れてしまって、お定がなぜそんなことを言ったのかと、ただ不思議に思っていたのでございます。