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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《認識論とは何か(にんしきろんとはなにか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 頁

青空文庫

かくて明白な観念や判断は、永久の公理のように明白なものである。言葉を変えれば、先天的に明白なものである。生れながら具備していた生具観念にぞくするものでなければならぬ。この生具観念的合理主義は、J・ロックによって、認識の経験論的検討の前に一たまりもなかったことは、当然という他ない。ただロックの認識論(之が所謂「認識論」の始まりだとブルジョア認識論者は云っている)は、生具観念を単に否定しただけで、生具観念が有ったように見える「生具性」そのものの尊重に於ては失敗して了った(この関係は後に触れよう)。

だがデカルトの明白説は、より現実的な合理主義者であったライプニツによっても、批判されざるを得なかった。近世の合理主義者の内、最も異色ある雄大な思想家であるライプニツは、デカルトのように真理から神を導かずに、神から真理を導いた。可能界(形式論理や数学の世界)は神の知性によって考えられたものである。そこでは事物はそうでしかあり得なかったのだ。事物は必然だったのだ。でそこには必然的な永久の真理が行なわれる。強いて云えば之は「明白」な真理にぞくする。之に反して、現実界(歴史的な現実のこの世界)は、多くの可能の世界から、神が善き意志によって最上の世界として選択した唯一の世界なのである。