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どくしょとちょしょ
読書と著書
矢内原 忠雄
線上閱讀矢内原 忠雄《読書と著書(どくしょとちょしょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,828 字 · 8 頁
併しすべての読者に対し、古典をそれぞれの原語にて読むことを要求するは至難である。従って古典の翻訳は、古典そのものに次いで重要である。その翻訳は良訳でなければならぬ。又全訳でなければならぬ。悪しき翻訳は悪しき著述以上に有害であり、又部分訳は古典の精神気魄を伝うる上に於いて不十分である。
私自身『神の国』を原語で読むだけの力がない。お恥かしい次第であるが、ラテン語本文は参考にして、英訳仏訳等で読んで居る。この大著の日本語訳が未だ一種も出て居ないことは、日本の文化の為めにどれだけ損失であるかわからない。否、不名誉な話であると思う。梗概のようなものは一、二出て居るが、著者の思想と精神をよほどよく呑み込んだ人が書くのでなければ、梗概書の類は古典に取り多くの場合無益有害であろう。
クローマー卿の小冊子に『ロマ帝国主義と英帝国主義』と題するものがある。ロマ帝国と英帝国とは、いろいろの点で対比するに興味がある。西ゴート族の王アラリックがロマを陥れた事件を動機として、アウグスチヌスは『神の国』を書いたのであるが、「二十世紀の神話」を唱えて基督教排撃を標榜するナチスの軍勢が南下席巻して居る今日、イギリス若しくはフランスの何処かで、現代の『神の国』