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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《豊島与志雄童話集(おつきさまのうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 頁

青空文庫

赤ん坊なんかだいているへんな巡礼でしたけれど、その赤ん坊の着物が柿の色と同じようなので、私はなんだか泊めてやりたい気がしました。

正夫も同じ気持ちだったのでしょう。小父さんをさがしに家のなかにかけていって、まもなく戻ってきました。

「泊ってもいいんだって……」

巡礼の女は、うれしそうにおじぎをしました。

「それでは、夕方まいりますから……」

そして出ていきました。

私と正夫は目を見合わせました。どうもへんな巡礼なんです。

「僕が見てきましょう。へんだなあ……」

正夫が巡礼のあとをつけていったので、私は一人でぼんやり夢想にふけりました。

ながい時間がたったようでした……正夫が戻ってきました。巡礼の赤ん坊をだいてるんです。にこにこ笑っていました。

「おかしな女ですよ。赤ん坊をわらのうえにねかしといて、自分はたんぼのなかにはいりこんで、落穂をひろいはじめたんです。だんだん向こうへ遠くへいっちゃうんですよ。僕この赤ん坊がかわいそうになったから、だいてきてやりました」

「どれ、かしてごらん」

私はその赤ん坊をだきとりました。赤ん坊はまだすやすや眠っていました。ふうわりと軽くて、まるで綿のようで、頬をつついてみると、つるつるしてやわらかで、かすかに乳の匂いがしていました。