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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《豊島与志雄童話集(おつきさまのうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 頁
メーソフが怒りだすかと思って、太郎は内心びくびくしていましたが、メーソフはしばらく太郎のようすをながめて、それから、髭だらけの顔にしわをよせて大きく笑いました。
「ほう、あんたがたは、奇術師だったのか。そして、この馬車が、そんなに気に入ったんですか。よろしい、わたしの負けだ、売ってあげましょう。きのう、あずかった金がいくらだかわからないが、あれだけでよろしい。そのかわりに、この馬車をあげましょう。この馬車なら、世界中まわったって大丈夫だ。安心していらっしゃい」
「え、本当、本当ですか」
メーソフは何度もうなずきました。太郎はその胸にすがりつきました。キシさんも馬車から出てきて、メーソフとしっかり握手しました。
匪賊のなかへ
いよいよ金銀廟に向かっての旅です。
始めのうちは、のんきでした。奇術師といっても、それはひと目をごまかすためのもので、時々奇術のまねごとみたいなことをやるだけで、旅を急ぎました。キシさんが二頭の馬を御し、太郎とチヨ子とは、馬車の箱の中で、白猫のチロと遊びながら、奇術のけいこでもするだけでした。馬車の中には、用心のために、食べものもたくさん積んでありますし、武器もありました。