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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《赤ひげ診療譚(あかひげしんりょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,626 字 · 45 頁

青空文庫

くらしはいつもぎりぎりいっぱいで、五郎吉の稼げない日が三日も続くと、たちまち粥も啜れなくなる。冬でも粉炭の量り買いだし、煮炊きの薪に困ることなどしょっちゅうだった。長次はそれを知っていて、焚木になりそうな物があると拾って来る。木っ端、板切れ、枯枝、米俵や蓆などまで拾って来た。中には普請場からくすねて来たような板や、よその木の枝を折ったと思えるものなどもしばしばあった。しかし、現実にその日の焚木に困っているおふみには、叱ることはおろか、こんなことをしてはいけない、と云うことさえできなかった。

そして島屋のことが起こったのだ。島屋というのは表通りにある雑貨商で、五郎吉もときどき手伝い仕事を頼まれ、幾らかの銭を貰っていた。大掃除とか、家の羽目板のあく洗いなどというたぐいの、年に幾たびと数えるほどしかないことだったが、それでさえ心待ちにする稼ぎの内にはいっていた。島屋は店の奥に隠居所があり、小さいけれども庭を囲って、板塀がまわしてある。その塀の下半分、横に桟になっているところの木が古くなり、釘も腐ってとれたりして、がたがたに緩んでいた。長次はその桟の板を外して持って来た。