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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(上)(じんるいのせいぞんきょうそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 頁

青空文庫

それゆえ、迷信によって民を治めるということは、その時だけのことを考えると、しいて非難すべきものではなく、暫時なりとも、それによって国が治まり、民が安楽に暮らせるならば、かえって賞讃すべき価があるかもしれぬが、世が進み隣国との交通も開け、人民の思想が広くなってくると、いつまでも昔のままに迷信を保たしておくことが困難になり、治める側に立つ者は、いきおいあるいは坊主を雇い入れたり、あるいは教員に命令を下したりして、迷信の保存に力をつくさなければならぬように立ちいたる。かくしてわざわざ力をつくして迷信の保存をつとめるようになれば、自然の結果として、何事に対しても疑いを起こすごとき傾向を防ぎ、人民の研究心をおさえることになるから、理科的知識の発達は是非ともそのために障害せられ、文明の進歩はきわめて遅くなるはやむをえない。世の中に国が一つよりない場合には単に国が治まり、民が幸福でありさえすればよいのであるから、もし迷信によってこの目的が達せられるならば、それでまことに結構であるが、地球上にはたくさんの国があって、これがおのおの力をきわめて互いにはげしい競争をしている以上は、単に国内の平穏無事のみを目的として安心してはおられぬ。