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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(上)(じんるいのせいぞんきょうそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 頁
世人は分数、比例もしくは開平開立ができたとて、その人を数学家と呼ばぬが、網を持って蝶やトンボを採集しガラスぶたの箱に並べて、十箱にもおよぶと、すでにその人を博物家と名づけて、これと生物学者とを混同している。しかも昆虫を十箱集めただけでは、実はいまだ生物学の門へもはいらぬくらいのところであるゆえ、とうてい数学中の開平、開立の位地にはおよばぬのである。また真に博物家と称すべき人も多くは新種の発見に骨を折り、触角の節の一つ多い甲虫とか斑点の一つ少ない蝶とかを新種として記載するゆえ、世間では動植物に関する学問は単に各種属の分類記載、異同の識別等のみにとどまるごとくに誤解し、動植物学を記載の学問と名づくるにいたったのである。西洋諸国でも生物学という名前のやや広く行なわれるにいたったのは、実に近年のことであるゆえ、わが国のごとき生物学の研究の日なお浅く、その研究者の数少なきところで生物学が誤解せられていることは実にやむをえぬことでもあろうが、誤解はどこまでも誤解としてすみやかに除かなければならぬ。分類記載ももとより生物学の必要なる一部分であるゆえ、われらは決して分類の研究を排斥するのではない。