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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

に考えなおして見ると、現今多数の人びとの信じていることとは大分違うた結論に達する。このことについては、すでに一、二回われらの考えを発表したことはあるが、要点だけをつまんでいうと次のごとくである。

今の世界には人間を相手として対等の競争をなしうる動物は一種類もない。かくのごとく人間が絶対に優勢な位地を占めえたのは何によるかというに、これは脳の発達と団結の力とに基づくことである。人間と他の動物との身体を比較して見るに、爪でも牙でも肺でも胃でも人間よりは数等まさった動物はいくらでもいる。しかし脳髄にいたっては人間だけが一段飛び離れてすぐれていて、これに接近するほどの者は決してない。かくすぐれた脳をもって、人間は物を考え、種々の道具や器械を工夫し、爪や牙ではとうていかなわぬような強敵をもたちまち攻め滅ぼしえたのである。もちろん、道具や器械を造り、操縦するには、それのできる手が必要であるが、手だけならば、人間のほかにもこれを有する獣類は少なくない。すべての猿類はむろんのこと、擬猴類でも、食虫類のあるものや、有袋類のあるものさえも、人間のとおりの手を持っている。