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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

以下この二種類についておのおの若干の例をあげてみよう。

猿の頬にある人参や、犬の寝床の下にある骨を私有財産と呼ぶことは、いかにもぎょうぎょうしいようで、つねに某の財産は何千万円あるとか、某の身代は幾百万円あるとかいうことのみを聞き慣れている読者の耳には、ほとんど滑稽に聞えるやもしれぬ。しかしながら、およそ、物の真の性質を知らんとするには、まずそのもっとも簡単な形を取って研究することが必要である。かくしてこそ、始めて物の本来の性質と、その進歩するに伴い漸々付け加わってこれを複雑ならしめた部分との関係も知れ、したがって全部を誤りなく了解し得るにいたるのである。画工が人物をかくにあたっても、まず裸体の像で充分に腕を磨いておかぬと、衣裳を着けた姿が満足に画けぬのはすなわちこれと同様な理屈であろう。今ここに述べんとする動物の私有財産のことは、あたかも財産制度の裸体画ともいうべきものゆえ、現代人類の財産制度の真意義を調べるにあたっては、まずこれと比較して見ることがもっとも必要である。かくしてこそ始めて現代の財産制度の欠陥の範囲、程度も明瞭になり、その欠陥のよって起こる原因もたしかに知れ、その結果としてこれを改める適切な方法をも案出することができるようになるであろう。