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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

ばたちまち消滅するゆえ、数代も数十代も後の子孫までが、懐手で贅沢に暮らせるということはないから、人間と他の動物との財産制度上の相違は、詰まるところ、利子を取るか取らぬかという一点に帰するのである。

そもそも物を貸して利子を取るという制度がなにゆえに人間社会にのみあって、他の動物には全くないかというに、これは動物は何をなすにも単に手足のごとき身体の部分を用いるのみなるに反し、人間はすべて道具を用いるに基因することである。人間は実に「道具を用いる動物」という定義をくだしてもよろしいほどで、汽車、汽船のごとき大きな道具はしばらくおき、口へ飯を入れるにも箸を用い、背中のかゆいところを掻くにも「孫の手」と名づける道具を用いるが、他の動物ではただ猿が石を用いて胡桃を割るとか、象が樹の枝を用いて蠅を追うとかいうごとき僅少の例外を除けば、道具を用いるものは皆無である。しかして人間が道具を用いる以上は、人と道具との二者がそろうて初めて、仕事ができるのであるゆえ、もし一人が他人より道具を借りてある物を収穫しえた場合には、これに対して相応の報酬を贈るは当然のことと思われる。