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しゅうぶん
醜聞
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《醜聞(しゅうぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 頁
「どんな鳥でも」斎宮は激しく咳こみ、咳の止まらない苦しさに肥えた躯を二つに折り、顔をまっ赤にしながら云った、「――どんな鳥でも、殻に傷のついた卵は孵さない、巣の中からはじき出してしまうそうだ」
小守は次の言葉を待った。
「あの半六はだめな男だ」斎宮はふところ紙で眼を拭き口のまわりを拭いた、「おまえさんは殻に傷のついた卵を孵そうとしている、ばかなめんどりのようなものだ、半六なんぞは巣からはじきだすがいい」
それから、なんの用だ、と云わんばかりな表情で、功兵衛を見た。彼はみまいに来ただけであると答え、小守をあとに残していとまを告げた。
靱町から北屋敷の自宅へ帰る途中に、町人まちの一角が伸びてきている。丙午の年に火事で町人まちが五百戸ほど焼けたとき、そこに仮宅を建てることが許され、それがそのまま居着いてしまったのであるが、元は広い空地で、まん中に「堀」と呼ばれる川が流れていた。いまではそこに保利橋という橋も架けられ、そのあたり一帯を「新町」と呼ぶようになっていた。
「だめだ」とうしろで供の云うのが聞えた、「だめだ、寄るな寄るな」
功兵衛が振り返ってみると、こもをかぶった老乞食が、供の宇野幾馬のほうへ手を差出していた。