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しゅうぶん

醜聞

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《醜聞(しゅうぶん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,900 字 · 46 頁

青空文庫

ばか犬は打っても蹴っても躾はできない、繋いでおくよりしかたがないだろう、あいつを追放にすれば、ゆくさきざきでこの藩の恥をさらすにちがいない、ばか犬は繋いでおくがいい、さしあたり三年の居宅謹慎が適当と思う。

ばか犬といわれた由良正七郎は、二年のあいだ謹慎し、それから許されて、いまでは誰の注意もひかず、ごく平凡にくらしている。ほかにもこれに類した毒舌はかぞえきれないほどあるが、いまの功兵衛にはこの二つが、特に意味ふかく思いだされた。

「もしも苅田のことを話したらどんなことを云われたろうか」と功兵衛は呟いた、「殻に傷のついた卵だ、巣からはじきだしてしまえ、と云うだろうか、それともばか犬は繋いでおけと云うだろうか」

いずれにしても話をもちださなくってよかった。相談をするのはもっとあとのことだ、苅田の身辺をまずしらべてみよう、と彼は思った。そして功兵衛はすぐにその手配をした。城下町の世間の狭いということもあろう、五日とたたないうちに苅田のしている仔細がわかった。彼は中以下の侍に金を貸し、非常な高利をむさぼっている。その反面では新やなぎ町という、下級の花街に馴染の女があり、その女にかよいつめているが、単にいろ恋ではなく、女を使ってその町の娼婦たちに金を貸し、これまた法外な高利を取りあげている、ということであった。