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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
さすがに小林少年は、そんなこまかいことまで、まえもって用意しておいたのです。
つぎには、袋の中から、大きな、黒いふろしきのようなものを取りだしました。そして、それで、じぶんの頭から足のさきまで、すっぽりと、つつんでしまったのです。これは、もし怪人団のやつが、自動車のにもつ入れのふたを、ひらくようなことがあっても、すぐにはみつからないためです。
そうして、じっとしていますと、しばらくして、エンジンの音が聞こえ、いきなり自動車が走りだしました。だんだん速力がくわわって、おそろしい早さで走っているのです。
その行くさきは、いったいどこなのでしょう。自動車の中には、手足をしばられ、さるぐつわをはめられた賢二少年が、ふたりの男にはさまって、こしかけています。怪人たちは、賢二君を、どこへつれていくのでしょう。
一時間、二時間、いつまでたっても、自動車はとまるようすがありません。ますます、速力がはやくなるばかりです。きゅうくつなにもつ入れの中に、身をちぢめていた小林君には、そのあいだが、どんなにながくかんじられたことでしょう。肩や腰が、いたくなってきました。せまい箱の中ですから、すわることも、寝がえりをすることもできません。