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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

カブトムシ大王さまだ。わかったか。おまえのおやじは、わしの命令に、したがわなかった。軍用金を出さなかった。その罰として、おまえを、わしの国のカブトムシ軍の兵隊にしたのだ。わしの命令にしたがわぬやつへの見せしめにするのだ。

カブトムシ軍隊の訓練は、はげしいぞ。わしは新兵が入隊した第一日に、こうした訓示をあたえ、それから、わしみずから、カブトムシの動きかたを、やってみせることにしている。こんやはすこしおそくなった。もう九時半だ。しかし、いちおう、やってみせることにする。こういうものを着て、虫のように走ったり、とんだりするんだから、なかなか、むずかしい。この鉄塔王国の将校のうちにも、わしだけの働きのできるやつは、ひとりもいないのだ。さあ、よく見ておくがいい。」

白ひげのじいさんは、そういって立ちあがると、赤いじゅうたんの上においてあった、ビニールの大カブトムシのからを、ひっくりかえして、腹の方の出入り口をひらき、服を着たまま、足の方から、その腹のさけめへ、はいりこんでいくのです。そして、頭まですっかりはいってしまって、中から腹のさけめをとじると、あおむけになっていたのを、クルッと、ひっくりかえり、ガサガサと、はいだすのでした。