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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

「黄金虫」という小説の金色のカブトムシや、死頭蛾という大きなガの背中にも、がい骨の顔がうきだしていますが、あれらと同じような、おそろしいもようが、この巨大なカブトムシの背中にもついていたのです。小林少年があとになって、そのことを新聞記者に話したものですから、翌日の新聞には、その絵が、大きくのせられました。地獄からはいだしてきた、おそろしい妖虫の姿でした。

しかし、銀座の夜のできごとがあってから、二週間ほどは、なにごともなくすぎさりました。妖虫はあの晩数寄屋橋のところで、かきけすように、見えなくなったまま、一度も姿をあらわさないのです。

ところが、二週間ほどたった、ある夜のこと、荻窪の高橋太一郎さんのおうちに、おそろしいことがおこったのです。

高橋さんは、昭和鉄工会社の社長さんで、荻窪の、およそ三千平方メートルも庭のある、広いやしきに住んでいました。家族は、主人の太一郎さん夫婦と、ふたりの男の子だけで、数人の女中や書生をおいているのです。ふたりの男の子の、兄のほうは、壮一君といって、中学二年生、弟のほうは、賢二君といって、小学校四年生でした。

その晩七時ごろ、高橋さんのところへ、木村というお友だちから、電話がかかってきました。