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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

五

「お前は昨夜どこにいたんだ」

「不動堂でお通夜をしていました。――それはみんな知っております」

「外へは出なかったのか」

「どこへも出ませんよ」

千代松の答えを聴くまでもなく、ガラッ八はもう外へ飛び出しておりました。お通夜の席からそっと脱け出して、人を殺した例を知っているので、早くも親分の目配せを読んだのです。

「叔父さんが死んで、口惜しかったろうな」

「それはもう。でも、私にはどうすることもできません」

「お前はただの奉公人か」

「?」

「給料は貰っているだろうな」

「いえ、この店で給料を貰っているのは、番頭さんだけです。私も、お仲どんも、お三も、親の借金のために、給金なしで働いております」

千代松の眼には痛々しくも怨ずる色があります。いつの間にやらお雛は、耳を塞ぐように出て行ってしまいました。

「あの娘の婿は決っているのか」

平次はその後ろ姿を見送りながら訊ねます。

「いえ」

千代松は妙に擽ったく頭を振りました。この男も婿に望まれた一人だったかもわかりません。

「隣の御浪人が、殺された主人をたいそう怨んでいたというではないか」

「え、昔は二本差した人ですから、今は手内職をしていても気の荒い人です。