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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁
六
「それから」
「お妹は萩野さんといって、とって二十歳。美しくて優しくて、弁天様の申し子のようなお嬢さんだ」
「で――?」
「その萩野という娘と、甲賀町の御家人岩井銀之助が、許嫁の間柄と聞いたらどんなもので」
「お嬢さんを見たのか」
「見られるわけはありませんよ。半日や一日頑張ったって」
「見るとびっくりするよ。――まあいい。それで大方分ったが、三千二百石と百五十石の縁組は少し不釣合じゃないか」
平次の注意は細かいところまで行届きます。
「北条家と岩井家は縁続きなんだそうですよ。それに、岩井銀之助というのがあの通りの男だから、三千二百石のお姫様が一生懸命なんだそうで――」
「まアいい。――それで大方見当はついたが――」
「辻斬野郎はやはりあの岩井銀之助でしょうか? それとも?」
「相手が悪いな、八。三千二百石の殿様じゃ口惜しくたって縛りようがない」
「ヘエ――」
平次は北条左母次郎に眼をつけた様子です。が、町方の御用聞では、この三千二百石取りの曲者をどうすることもできません。
五
それから十日あまり、ともかくも江戸の夜は無事に過ぎました。が、月の出が遅くなって、宵闇が濃くなると、冷酷無残な辻斬がまたも活動を始めたのです。