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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁
「この場限りだよ、誰にも言うわけじゃない」
「それなら申しますが――実はあまり良くない方で――」
「若主人の費い方がひどかったようだな」
「そればかりじゃございません。商売も手違いがありました。この暮は大難場で、問屋筋の払いだけでも二千両は要るはずですが、――親父は一生懸命に工夫をして千両ばかり拵え、それを土蔵の中に置いたのです」
「金は盗られなかったのだな」
「ヘエ――、曲者が銭箱を持出したところを親父に見付けられ、銭箱を投り出して、親父の持っていた脇差を奪って突いたのでしょう。鞘は死骸の傍に落ちていました」
「ひどい血だったが、家の者で着物に血のついていたものはなかったのか」
「気がつきませんでした。もっともあとで死骸の片付けに手を貸した徳松どんとお才さんは、ひどく血で汚れましたが――」
「若主人はお前の父親を怨んでいるようなことはなかったのか」
「とんでもない、親分」
「煙たがってはいたんだろう」
「そんなことがあったかも知れません。主人と番頭でも、年も違いますし、親父は忠義者でしたが、この上もない一国者でしたから」
老番頭と道楽者の若主人との関係が、孫三郎の口吻でいくらか判ります。