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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

六

「死骸を見ると、ひどくあわてていたというじゃありませんか」

「親分の前だが、誰だって驚きますよ。不意に脇差を突立てた死骸を見せられちゃ、――あれを見て驚かないのは、身に覚えのある奴ばかりで――」

こんな問答を重ねても無意味なので、八五郎はいい加減にして切り上げました。

もうやがて日暮れでしょう。念のため下女のお福に逢ってみると、これは三十過ぎの出戻りで、こちらで訊きたいことの三倍も物を言う肌合いの女です。

「――お嬢さんと旦那様と何か言い合っていなすって、――え、夜半近くまでですよ。お蔭でお嬢さんの隣の部屋に寝ている私は、すっかり寝そびれてしまいましたよ。間もなくトロトロとしたと思ったら、あの騒ぎでしょう。驚いたの、驚かないの――」

といった調子です。

「お梅さんと若主人は、何で喧嘩をしたんだ」

「喧嘩じゃございませんよ。ほんの言い合いで、――なんでも、鍵がどうとか、千両がどうとか、三百両でいいとか――」

八五郎は雀躍りしました。秘密の緒口はここからほぐれて来そうです。

さっそくお梅を呼んで、ゆうべ兄と争ったことを訊きましたが、十八娘はサメザメと泣くばかりで何にも言いません。